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モーションキャプチャーの魅力



撮影技術の変遷


モーションキャプチャーとは、人体や物体の動きを測定して、コンピューターに取り込む技術のことです。

動きをデーター収集することで、歩行や動作の解析、筋肉や関節にかかる負荷などを数値化できること。

映画、ゲーム、CGアニメの表現だけではなく、スポーツパファーマンスの向上や、リハビリテーションなどの医療分野でも活用されている。

時代とともに進化し続ける撮影技術。

その原点はいつなのだろうと、気になって調べてみた。

モーションキャプチャーの萌芽は、ニセフーォール・ニエプスが1824年に発明した、世界初の写真画像と言われている。

ニエプスは発明当時、カメラ・オブスクラ(ラテン語で『暗い部屋』という意味)という、風景を投影できる道具に関心を向けていた。

19世紀初頭の風景画家たちが、、遠近法を用いて絵を描くため、しばしば利用していたという。

カメラ・オブスクラの原理は、ピンホールカメラと同じで、箱の一方に空けた小さな穴を通じて、外の風景が暗い箱の内壁反転し、映し出されるというもの。

画家たちは、そこに映し出された映像を紙に写し取ることで、よりリアルな風景画を描いていたという。

ニェプスは、カメラ、オブニクスラに投影された映像を光の効果によって、紙や板などに固定できないかと考えた。

そして試行錯誤の末、写真画像を金属板へ固定することに成功したのです。

ニエプスは、太陽光を利用したこの写真技術をヘリオグラフィ(太陽で描く)と名付けました。

ニエプスの写真技術をきっかけに、さまざまな研究者によって、さらなる撮影技術が編み出されていった。

エドワード・マイブリッジは、高速度で撮影できる写真装置を等間隔に12台並べ、疾走する馬の連続撮影に成功しました。

マイブリッジは、馬が走るコースにシャッターと連動させた糸を張り、馬が走るコースにシャッターと連動させた糸を張り、馬が糸を切ると同時にシャッターが下りる仕掛けを考案しました。

人の目では見えない瞬間を写真に収めたことで、それまで考えられていた、『前足は前方に、後ろ足は後方に伸ばして走る』という概念を覆した。

マイビリッジは、連写写真(写真を元に描かれた絵ともいわれている)ゾエトロープ(回転のぞき絵)に掛け、馬が走る様子をアニメーションのように見せたことで大きな反響を呼んだ。



その後、撮影対象をを馬から犬、猿、鹿、鳥、さらに人間の身体へと広げ、数多くの連続撮影を進めた。

1887年には、世界初となる、動体の連続分解写真集『動物の運動』(原題『ANIMAL IOCOMOTION』)を刊行。

マイブリッジの写真は、トーマス・エジソンに大きな影響を与え、『映画』を発明するきっかけになったという。

エジソンは、キネトグラフという撮影機を発明した後、キネトスコープという、のぞき眼鏡式映写機を1891年に発明しました。

映像フィルムの前後をつないで環にしたものが、蛇腹状に折り畳まれ、ボックスの内部にセットされている。

それを自動装置で回し、電球の光で透かしたフィルムを拡大鏡で覗く仕組みになっている。

ボックスに納められるフィルムの長さに制限があったため、1分以内の短い映像となっている。

女性がドレスを着て踊っていたり、男性がパンツ1枚で筋肉を見せるポーズををとったり。

初めて目にする映像に観客は魅了され、台ごとに異なる作品を楽しんでいたという。

このキネトスコープが商業利用の水準に達したことから、『映画の誕生』と称されている。

そして、このキネトスコープに刺激を受けたリュミエール兄弟(オーギュスト・リュミエール、ルイ・リュミエール)によって、シネマトグラフ・リュミエールが1895年に開発された。

エジソンのキネトスコープは、一人しか観ることができなかった。

リュミエール兄弟のシネマトグラフは、撮影と映写の機能を持つ複合映写機になっていて、スクリーンに投影することで、一度の多くの人々が鑑賞できるようになった。

現在の映画上映の原点とされる装置が、このとき誕生したのです。

リュミエール兄弟の作品には、演出という楽しませる工夫があったという。

『水を掛けられた散水夫』(1895年)は、コメディ映画の始まりともいわれている。

その内容は、男性がホースで水を撒いていると、後ろから来た少年がこっそりホースを踏んで水を止めてしまい、不思議に思った男性がホースを覗くと、少年が足を離し、その勢いで水が掛かってしまうというもの。

映画は、ありのままの風景映像から、物語を感じる映像へと変わっていきました。

その後リュミネール兄弟は、世界中にカメラマンを派遣し、約1500本の記録映像を撮っている。

1897年〜1899年の間に『明治の日本』という、日本の風景や日常を撮影した映像も残されている。

リュミエール兄弟は、世界の文化を映像として残すという、とても貴重な活動を行っていたのです。

リュミエール兄弟の映画を見た、ジョルジュ・メリエスは、映像の世界に魅了され、マジシャンとしての経験を生かした独自の映像技術を編み出す。


数ある作品の中でも『一人オーケストラ』(1900年)という、メリエスが一人七人役として登場する映画がとても面白い。

7つの椅子が置かれ、メリエスが端から順番に座り、立ち上がると同時に分身が残り、それぞれの楽器で演奏を始めるというもの。

動画サイトで映像を観てみたが、息ぴったりの七人のメリエスに、ただただ感動するばかり。

この驚きの映像は多重露光という、フイルムを巻き戻して再び撮影する手法が使われていて、なんと7回もの撮影を繰り返している。

一度でもミスしてしまうと、最初から撮り直さなければいけないという、ものすごいプレッシャーだ。

とても難しい撮影技術を見事に使いこなし、マジック映画としてたくさんの人々を魅了した。

劇場主でもあったメリエスは、その経験を生かし、セット、脚本、撮影、演技となんでもこなし、独自の世界観を作り上でいった。

その後『月面世界旅行』(1902年)という、世界初のSF映画が誕生。

天文学学会の一行が、月への探求旅行を計画。

一行が宇宙船に乗り込むと、大砲で発射され、人面の月の右目に着弾。

宇宙船を降りると、そこには見たことのない景色が広がり、三日月の女神や、土星の神様、月人などが住んでいた。

宇宙船が月に近づく様子は、人面の月がカメラに向かって徐々に距離を詰めることで見事に表現。

爆発や降り注ぐ雪、煙とともに月人消える特殊効果も素晴らしい。

近景、中景、遠景を意識したセットは美しく、当時の映画として驚きの連続だっただろう。

100年以上も前に、月世界を映像で表現していたことに、とても驚いた。

今観ても面白く斬新な作品です。

メリエスは、多重露光、低速度撮影、デイゾルブ、ストップモーションという、撮影技術の開発だけでなく、ひとこまずつ手で色付けしたカラー映画も作っていた。

動画サイトでは、『月世界旅行』のカラー版も観ることができるので、興味のある方はぜひご覧ください。

写真から始まった撮影という技術。

人々を楽しませたい、新しい表現をしたい、そんな探究心によって現代の撮影技術につながっていると思うと、偉大なる発明家たちに、ひたすら感謝と尊敬の念を抱くのです。




撮影の舞台裏


少し話題が逸れてしまったが、モーションキャプチャというものに興味を持ったきっかけは、『キングスグレイブ ファイナルファンタジー15』というフルCG作品を観て、その美しさに心を奪われたからです。

この作品は、『ファイナルファンタジー15』というゲームへとつながる、もう一人の主人公を軸にして描かれた、アナザーストーリー。

公開当時、ゲームの発売を心待ちにしていた筆者は、この映画がどのように描かれるのか、とても楽しみにしていた。

期待を胸に劇場へ観に行くと、そこで目にしたのは、どこかぎこちない人間の動きや表情ではなく、限りなく人間に近い、魅力的なキャラクターたちでした。

髪の毛一本一本、息遣い、目の力強さ、繊細な表情などが見事に表現されていました。

その後、ゲームと一緒にこの作品も購入しました。

特典映像には撮影風景が収録され、モーションキャプチャを用いた役者たちの演技を観ることができました。

スタジオ内には、CGで描く際に必要な動きを撮影するため、階段や椅子などのセットが使われていました。

役者たちは、動きを測定する特製のスーツを着て、頭部には表情を撮影するための固定カメラとライトを装着。

顔には表情筋を動かす部分に、球体のフェイスマーカーが付けられ、ライトを当てた反射によって表情の動きを測定する。

数ある撮影シーンの中でも、アーデン(エドワード・サックスビー)という飄々としたキャラクターの演技が印象的だった。

役柄故、ややオーバーな演技となっているが、表情や立ち振る舞いで胡散臭さを醸し出し、その表現のひとつひとつがとても魅力的に感じました。

役者たちの演技力がそのままキャラクターに生かされ、表情という難しい描写に、とても力を入れていることが分かった。

この撮影風景を観て感じたのは、衣装や風景などが無い状態で、どれほどの想像力を働かせられるか、ということであります。

今どのような場面で、どの場所ににいて、どのような感情で…….。

想像しただけで頭が混乱してしまう。

この作品は、実在するモデルや俳優がキャラクターとして描かれている。

キャラクターにもよるが、モデルとなる人物、モーションアクター、ボイスアクターと3つに分かれたものを一人のキャラクターに集約されている。

映画に登場するキャラクターが実在するという、何とも不思議な感覚が忘れられない。

ゲームの世界が題材となっているが、CGだからこそ表現できる、モンスターや魔法の世界。

美しく迫力満載の映像は、一見の価値あり。

今までは、完成された映像ばかりに目を向け、その舞台裏を意識したことがなかった。

この撮影風景を見て、モーションキャプチャを用いた作品がどのように生み出されるのか、非常に興味が湧いた。

そこでモーションキャプチャを用いた作品をいくつかご紹介。



キングコング 2005年

冒険映画の撮影の為、幻の孤島スカルアイランド(髑髏島)を訪れた、舞台女優アン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)、映画監督、脚本家一行。

そこで目にしたのは、体長7.5メートルの巨大生物キングコング(アンディー・サーキス)であった。

キングコングに連れ去られてしまうアンを軸に物語は展開する。

キングコングが、アンを守りながら恐竜(バスタトサウルス・レックス)と戦うシーンは迫力満載で、キングコングの圧倒的な力の表現が素晴らしい。

恐竜の舌を喰いちぎり、並外れた腕力で上顎と下顎を外してしまう。

本性むき出しの荒っぽさだけではなく、繊細な表情や動作によって、キングコングの感情までも伝わってくる。

キングコングは、アンと戯れたくて指で小突くが、力が強いためアンは倒れてしまう。

その反応が面白く、繰り返し小突いているとアンは激怒。

接し方が分からないキングコングは、もどかしい感情を木や岩に八つ当たりして心を落ち着かせる。

このキングコングの動きや表情に、何ともいえない不器用さを感じ、とても魅力的に感じた。

キングコングというキャラクターに感情移入できたのは、サーキスの名演をVFXを用いて、キングコングに再現できたからだと思う。

モーションキャプチャの撮影では、特製のスーツを着て、キングコングの頭身に合わせるため、とても長い義腕を両腕に装着していた。

キングコングのい鳴き声もサーキスの声を生かしたものとなっていて、キャラクターを突き詰める姿は、素晴らしい。

サーキスはキングコングを演じるため、野生保護区で飼育されているゴリラと触れ合い、コミニケーションをとっていたという。

ゴリラの習性や特徴を研究した名演に魅了される映画でした。



アバター  2009年

惑星パンドラに眠る希少鉱物を巡り、ナヴィ族、人類、そして人類とナヴィを掛け合わせた人造生命体アバターによる抗戦が描かれる。

ナヴィ族のキャラクターデザインが魅力的で、人間と猫を掛け合わせたような容姿がたまらない。

身体能力も現実離れという訳ではなく、3メートル前後ある体格を活かした動きで、狩りをしたり、翼竜(イクラン)にまたがり空を自在に飛び回る。

その生き生きと描写されるナヴィ族の姿に憧れを抱いた。

物語終盤で施されるウォーペイントは、青い肌に映える、とても美しい色合いで、一度観たら忘れられないアートのようなデザインです。

アバターとなったジェイク・サリー(サム・ワーシントン)が、惑星パンドラで初めて目にするものへの好奇心に、自己投影して観ていた。

ふわりと浮かぶ白い生き物はどのような肌触りだろう、ウトライヤ・モクリと呼ばれる声の木に、フィーラー(尾のように伸びた髪の毛の先端部分)でつながり、先祖の声を聴く感覚はどのような感じだろう。

パンドラの世界をジェイクというキャラクターが、自身のアバター(分身)となっていることに気づいた。

観ている者をその世界に引き込み、想像して楽しむという、とても新しい感覚だ。

モーションキャプチャーの撮影を観ると、役者たちの想像力が求められる現場だった。

広いスタジオ内は全方位を囲むように、多数のカメラが設置されている。

役者たちは耳や尻尾付いた特製のスーツを着て、目に見えない景色を想像して演じなければならない。

襲い来る巨大生物への恐怖心や、翼竜で飛び回る疾走感、初めて目にするものへの感情など、様々な場面を全身全霊で表現していた。

役者たちはパンドラの世界を想像し、目や耳で感じ取れるほど、感覚が研ぎ澄まされていた。

映画を観ているときは、キャラクターがパンドラの世界にいるとしか思えない、素晴らしい演技力だ。

翼竜やヘリコプターは特製のセットになっていて、場面に合わせて動かせるようになっている。

振動や傾きなど機械ではなく、人の手で動かしていたことに驚いた。

手作業によって、より細やかな表現ができるのだと感じた。

アバターは5作目までの公開を予定していて、順調に制作が進んでいるそうだ。

3D眼鏡をかけずに、立体映像が見られる技術を最終目標にしているという。

新たなアバターの世界が今から待ち遠しい。

2022年アバター2として2作目が公開される予定だそうだ。

猿の惑星 新世紀 2014年

人間の薬物実験にお副作用によって生まれた、知力に長けたエイプ。

人間の一方的な都合で酷い扱いを受けていたエイプたちは、人間の世界から自由になるため、一致団結し運命を変えた。

この作品はその10年後となる続編。

続編とは知らずに、2作目を先に観てしまったが、エイプであるシーザー達の躍動感や繊細な表情に一気に引き込まれた。

冒頭シーン、顔や体にウォーペイントを施したシーザー(アンディ・サーキス)の目元がアップで映される。

目に宿るシーザーの力強い意志に、これから何が起こるのだろうとドキドキした。

シーザーのモデルとなっているチンパンジーに元々白目はない。

白目があると、弱肉強食の世界では逃げようとする方向がばれてしまい、生命の危機に陥ってしまうからだ。

薬によって進化を遂げたシーザーたちは、アイコンタクトや独自の手話で、コミニケーションを取ることができる。

言葉を話せるエイプが何頭かいるが、多くは語らず、仕草や表情で魅せる。

人間の要素を取り入れつつ、エイプに重きを置くという絶妙なバランスが素晴らしい。

モーションキャプチャの撮影では、特製スーツの他に義腕となる特別な棒を腕に装着する。

四足歩行のとき、体の比率がエイプと同じになるよう設計されている。

役者たちは6週間かけ、基本姿勢から、二足歩行、三足歩行、四足歩行と、特徴的な動作や鳴き声を練習していた。

四足歩行する役者たちの演技は圧巻で、人間の姿にもかかわらず、そこに写っていたのは紛れもなくチンパンジーだった。

チンパンジー、ゴリラ、オラウータンなど、エイプを演じる役者たちが、それぞれの動きを熟知している姿に感銘を受けました。

シーザーを演じるサーキスもとても魅力的だったが、敵対するコバ役のトビー・ケベルも素晴らしい。

チンパンジーという基本動作の会得だけではなく、人間に酷い扱いをされた過去を持つキャラクターとして、心に秘めた憎しみを見事に表現していた。

シーザーと正反対の考えを持つコバが、この作品をより魅力的なものにしている。

モーションキャプチャの撮影は驚くことばかりで、映画本編後にぜひ観てもらいたい映像です。

様々な映画やアニメ、ゲームを通じて感じたのは、大好きな作品は、そのキャラクターの動きも魅力的だったということ。

思わず真似したくなるような動きであり、真似できない、かっこいい動きであったり。

ブルース・リーの鼻をこする仕草は、アニメやゲームなど、様々な作品にオマージュとして出てきた。

動きひとつで、そのキャラクターを連想できるというのは、素晴らしいことだと思う。

表情や仕草というのは、その人が生きてきた時間、人生を表すもの。

歩き方ひとつで、キャラクターを表現出来るモーションキャプチャの世界。

これからさらなる進化を遂げた作品に出会える、そんな期待を胸に新たな作品を楽しみにしている。

最後まで読んでくださり有り難うございます。








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